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2008年06月06日
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THREE RINGS
REALITY ENGINE
PYRA:MID
   
CEDEC2005で「流体の鉄人 ゲーム屋さんのための流体入門」を発表
次世代ゲーム開発における3D統合エンジンとして知られる Reality Engine。その特異な設計思想からこれまでも注目されていましたが、その実態は使ってみないと分からないものです。そこで、小社ではReality Engine の評価を敢行。実際に使ってみて分かった利点と問題点をここにご紹介いたします。
Reality Engine とは
Reality Engineは米国 Artifical Studio社によって開発された、次世代ゲーム開発における3D統合エンジンです。特にFPSや3Dアクションゲーム向けの描画エンジンを始め、サウンドシステム、入力デバイス、スクリプティングエンジン、ネットワークエンジン等からなるレベルエディターと物理エンジンを搭載している形になっています。コア部分は C++ にて記述されており、その特殊な設計思想によって非常にコンパクトにまとまったものとなっています。
Reality Builderでレベルデザインも楽々! Reality Engineを使って開発されているCellFactor
Reality Engine の特色
  • 非常にコンパクトなコードサイズ
    Reality Engine が持つ最大の魅力は、「既に存在している複数のモジュールを効率良く連動させる」という設計思想によって実現したコアプログラムのコードサイズです。コンパクトであるためコードの把握がしやすく改変も容易になります。恐らく「.net/C#」や「DirectX」を習熟している人であれば、一ヶ月もかからずに Reality Engine 本体を自社の開発に合わせてカスタマイズすることができるでしょう。
  • VS.net2005 が利用可能
    Reality Engine ではゲーム開発用のスクリプト言語としてC# の機能を非常に上手に取り込んでいます。そのため、VS.net2005からの強力なサポートを受けることができます。VS.net2005 は開発支援機能が豊富であり、生産性が非常に高くなっています。これをそのまま利用できることは、大きな作業効率のUPにつながるでしょう。
  • 開発支援機能が豊富なVS.net2005
  • Artifical Studio 社の迅速な対応
    何か問題が合った場合でも、Artifical Studio 社が迅速に対処してくれます。トラブルについてメールで質問した場合、ほぼ即日中に担当者(小社の場合は、なんと社長のスティグラー氏が自ら担当してくれています)から直接返事が届きます。また、情報の公開にも積極的で、様々な形でライセンシーと情報を共有しようと試みています。
  • Reality Engine の問題点
    現時点における最大の問題はその不安定さです。Artifical Studio 社自身も認めているように、まだまだ多くのバグが存在します。これは、開発途上のソフトをダウンロードしライセンスを取って使用するものである以上、ある意味避けられない問題と言えます。また、残念ながら Artifical Studio 社も、これに対する明確な対応策を未だ提示していません。ただ、ライセンシーの活動が活発なお陰で、Reality Engine のフォーラムには様々なトラブルに対する解決策が数多く公開されています。また、Artifical Studio 社もフォーラムに対しては非常に協力的であり、様々な形で情報提供をしてくれます。
    流体の鉄人 ゲーム屋さんのための流体入門
    (株式会社ピラミッド プログラムマネージャー 安藤崇紘/プログラマー 多久島信隆) Reality Engine を使用して一番困ったことは、やはりデータフローの問題です。本来、一直線であるはずのデータフローに問題(バグ)が存在するため、その問題を回避するなかでデータフローが複雑になっていき、非常に特殊な物になってしまいます。結果として、データが全く描画されていなかったり、頂点データが飛んでしまいモデルがきちんと描画されなかったりするケースが発生する場合があります。ただ、基本的にやろうと思う最低限の物はできるようになっています。また、Reality Engine のコード総量は非常に少ない上、機能ごとにまとまっています。ですから修正する部分さえ発見できれば簡単に修正作業ができます。
    データフローの例 (左)Ambient Occlusion テクスチャー(右)Global Illumination 適用後
    特筆すべき点はコミュニティの素晴らしさです。Artificial Studio のフォーラムでは、ライセンスを持って使用している人が自らプラグインを公開したりしています。半ば、ライセンシー自らがサポートしている感じですね。まだまだ不具合も多いし、いろいろと問題点もあるReality Engine ですが、そのライブラリデザインは非常に面白いし参考になります。評価版やプロトタイプを作成する場合やエンジンを改良して自社の開発に見合った独自の物を開発したい人には勉強になるのではないでしょうか?
    Reality Engine の問題点
    現時点では、実装レベルにおいて様々な問題があるのも事実です。しかし、「コードが非常に小さく修正が容易」「C# がスクリプト言語として使える」等、特別新しい知識や技術を必要としない敷居の低さは、何か新しいことを試すには持ってこいのツールとも言えます。
    Reality Engine を知るのに最適なチュートリアルビデオ
    Artifical Studio のホームページでは、現在12本のチュートリアルビデオがアップされており、誰でも自由に観ることができます。それぞれ30分〜60分という相当なボリュームを誇り、細かい部分まで説明されています。ここまで詳細なチュートリアルビデオが公開されている3D統合エンジンはそうはありません。まずはこちらを見て、その機能と使用方法を学ぶのも良いでしょう。
    文・構成/小関 匡